《召喚声歯車》

1:俺とかつての学友

「卒業おめでとう!」 学校でそんな言葉を交わしてから、俺が本格的に実家の鉄砲鍛冶に注力し始めて三度目の春がやってきた。 我が家はこの街に代々続く鉄砲鍛冶屋で、自分はそこの五代目になる予定である。 予定であるっていうのは、まだ俺が正式に後を継…

2:俺と親父

 そんな訳で、チクワ・ニィル・ヴォンゴーレ、二十歳。 所持金幾許かを握り、ぬくぬくした日々から強制的に荒地へと放り出されたところである。しかも、放り出した張本人の親父がセットという、この上なく意味が分からない状況だ。 その受け入れ難い状況に…

3:俺と謎の女

 朝の七時前。 結局、親父は戻ってこなかった。 乾パンを雑に頬張り、ゼリー飲料でそれを流し込みながらどうしたものかと頭を捻っていた。腹が減っては戦はできぬと言うし、仕切り直しという意味で腹ごしらえをしてみたのだが。「ダメだ。このまま待ってい…